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芸術運動 · 1870年代後半〜1890年代 · ヨーロッパ

自然主義の絵画:バスティアン=ルパージュと外光派

絵画の自然主義とは、1870年代後半のフランスで始まった芸術運動で、パリのサロンの画家たちが、農村や日常の暮らしを実際に見えるとおりに、しばしば屋外で実物を前にして描きました。日本で「自然主義」といえば文学を指すことが多いのですが、ここで扱うのは美術の自然主義(自然派)です。1880年代にはイギリス、スカンディナヴィア、フィンランドへ広がり、1880年代後半に最も人気を集めました。屋外の光を重んじたこの画風は、日本では外光派とも呼ばれます。代表的な画家に、ジュール・バスティアン=ルパージュ、レオン・レルミット、パスカル・ダニャン=ブーヴレ、ジョージ・クラウゼン、アルベルト・エーデルフェルトがいます。

彼らは刈り入れをする人々、巡礼のブルターニュの女たち、漁師、村の葬式を、しばしば自分たちの暮らす土地で、実在の人々をもとに描きました。作家エミール・ゾラは、1878年のサロンに出品されたバスティアン=ルパージュの《干し草》を絵画における自然主義の傑作と呼び、エーデルフェルトは《子どもの棺を運ぶ》をすべて屋外で描きました。

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選定・執筆:Pavel Mazuelas2026年11月5日更新

特集: 西洋美術史の年表:ゴシックから現代までの美術様式と芸術運動関連: 写実主義、印象派、風俗画

自然主義のすべての絵画と作品

鳥や動物の習作、植物画、風景画、農村の暮らしの場面、海景画。すべてパブリックドメインで、無料でダウンロードできます。

自然主義の有名な絵画

当サイトのコレクションにある、よく知られた自然主義の絵画です。作品をクリックすると、拡大して見たり無料でダウンロードしたりできます。

自然主義の代表的な画家

フランスのバスティアン=ルパージュやレルミットから、コーンウォールのニューリン派、フィンランド、デンマーク、ノルウェーの画家まで、自然主義の画家10人です。リンクから、それぞれの絵画をすべて見られます。

農民の暮らしを描いたフランスの自然主義の絵画

テートは農村の自然主義を、写実的で、しばしば感傷的に描かれた田園生活の場面と説明しています。フランスでは、オルセー美術館の2007年のバスティアン=ルパージュ展の図録がその影響をレオン・レルミットにたどっています。グルベンキアン美術館によれば、ダニャン=ブーヴレのブルターニュの場面は、自然主義の人気が頂点に達した1880年代後半に生まれました。

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北欧とフィンランドの自然主義

オスロ国立美術館によれば、ノルウェーでは屋外での制作が自然主義の画家の綱領の要で、美よりも真実を重んじる芸術上の理想でした。フィンランドでは、アルベルト・エーデルフェルトが1870年代末に戸外での写実を唱え、若いアクセリ・ガッレン=カッレラもバスティアン=ルパージュの影響を受けた画家の一人でした。

エーデルフェルトの絵画をすべて見る →

自然主義の絵画の特徴と見分け方

  • ジュール・ブルトン『ひばりの歌』

    やわらかく描かれた農村の暮らし

    鎌を持った裸足の娘が、朝日の中で手を止めてひばりの声に耳を傾けています。テートは農村の自然主義を、写実的で、しばしば感傷的に描かれた田園生活の場面とし、それがクールベの生々しい写実主義との違いだと述べています。

    ひばりの歌、ジュール・ブルトン

  • アルベルト・エーデルフェルト『子どもの棺を運ぶ』

    屋外で、実物から描く

    エーデルフェルトはこの葬送の舟を、ポルヴォー近くのハイッコで、すべて屋外で描きました。オスロ国立美術館によれば、屋外での制作は自然主義の画家の綱領の要で、テートは戸外制作を自然主義の発展における重要な技法と呼んでいます。

    子どもの棺を運ぶ、アルベルト・エーデルフェルト

  • パスカル・ダニャン=ブーヴレ『パルドン祭のブルターニュの女たち』

    一人ずつ研究した実在の人々

    ダニャン=ブーヴレはルメンゴルのパルドン祭を写真に撮り、一人ずつモデルを描いてから、アトリエでこの女性たちを配置しました。グルベンキアン美術館はこれを、19世紀後半の変化にあらがう農村の世界に分析的なまなざしを向けた、民族誌的な絵と呼んでいます。

    パルドン祭のブルターニュの女たち、パスカル・ダニャン=ブーヴレ

  • アルベルト・エーデルフェルト『リュクサンブール公園(パリ)』

    昼の光の中の近代の日常

    自然主義は農村だけのものではありませんでした。アテネウム美術館によれば、エーデルフェルトはこのパリの公園に、屋外とアトリエで1年以上を費やし、補色など印象派の手法を借りました。

    リュクサンブール公園(パリ)、アルベルト・エーデルフェルト

  • ジュール・バスティアン=ルパージュ『干し草』

    写真のような目

    バスティアン=ルパージュは地平線をことのほか高く置いて淡い干し草に画面の大半を占めさせ、二人の農民を近くからとらえています。オルセー美術館はこの構図を大胆に写真的と呼び、急な遠近法、明るい色調、近い構図を、自然主義における近代性の表れに数えています。

    干し草、ジュール・バスティアン=ルパージュ

  • アクセリ・ガッレン=カッレラ『猫を連れた老女』

    老いや貧しさを理想化しない

    ガッレン=カッレラは、老女の裸足、継ぎの当たった前掛け、風雪に耐えた顔を、見たとおりに描いています。オスロ国立美術館によれば、自然主義の画家にとって、美よりも真実こそが芸術の理想でした。

    猫を連れた老女、アクセリ・ガッレン=カッレラ

自然主義の前と後:美術史の流れ

  1. カスパー・ダーヴィト・フリードリヒ『雲海の上の旅人』ロマン主義1780年頃〜1850年頃
  2. ジャン=フランソワ・ミレー『落穂拾い』写実主義1840年頃〜1880年頃
  3. クロード・モネ『印象・日の出』印象派1867年頃〜1886年
  4. ジュール・ブルトン『ひばりの歌』自然主義1870年代後半〜1890年代
  5. ギュスターヴ・モロー『出現』象徴主義1886年頃〜1900年頃

自然主義と写実主義、印象派の比較

比較項目写実主義自然主義印象派
年代1840年頃〜1880年頃1870年代後半〜1890年代1867年頃〜1886年
主題農民、労働者、日常生活。しばしば生々しく農村の労働、村の暮らし、漁師。しばしば感傷的に風景と、近代の日常生活の場面
描き方理想化せず、直接の観察にもとづく入念な仕上げとしっかりした人物。しばしば屋外で実物からすばやく分割した筆触で、屋外で移ろう光をとらえる
代表作の例クールベ《オルナンの埋葬》ブルトン《ひばりの歌》モネ《印象・日の出》
代表的な画家クールベ、ミレー、ドーミエバスティアン=ルパージュ、レルミット、ダニャン=ブーヴレ、クラウゼン、エーデルフェルトモネ、ルノワール、ドガ、ピサロ、モリゾ

自然主義の絵画の代表作と画家の一覧

自然主義の有名な絵画:作者、制作年、現在の所蔵先の一覧です。

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この様式・運動の有名な作品。作者、制作年、技法、サイズ、所蔵先と都市の一覧です。
作品名画家制作年技法・素材サイズ所蔵先都市
スケーエン南海岸の夏の夕べP・S・クロイヤー1893年油彩・カンヴァス100 × 150 cmスケーエン美術館スケーエン
ジャンヌ・ダルクジュール・バスティアン=ルパージュ1879年油彩・カンヴァス254 × 279.4 cmメトロポリタン美術館ニューヨーク
リュクサンブール公園(パリ)アルベルト・エーデルフェルト1887年油彩・カンヴァス141.5 × 186.5 cmアテネウム美術館ヘルシンキ
村の恋人ジュール・バスティアン=ルパージュ1882年油彩・カンヴァス194 × 180 cmプーシキン美術館モスクワ
サウナにてアクセリ・ガッレン=カッレラ1889年油彩・カンヴァス120 × 81 cmアテネウム美術館ヘルシンキ
タヌム教会の洗礼ハリエット・バッケル1892年油彩・カンヴァス109 × 142 cmオスロ国立美術館オスロ
メキシコ湾流ウィンスロー・ホーマー1899年(1906年までに加筆)油彩・カンヴァス71.4 × 124.8 cmメトロポリタン美術館ニューヨーク
干し草ジュール・バスティアン=ルパージュ1877年油彩・カンヴァス180 × 195 cmオルセー美術館パリ
子どもの棺を運ぶアルベルト・エーデルフェルト1879年油彩・カンヴァス120 × 204 cmアテネウム美術館ヘルシンキ
ガチョウの羽をむしる女たちマックス・リーバーマン1872年油彩・カンヴァス118 × 172 cmベルリン旧国立美術館ベルリン
浜辺で遊ぶ少年たちアルベルト・エーデルフェルト1884年油彩・カンヴァス90 × 107.5 cmアテネウム美術館ヘルシンキ
ひばりの歌ジュール・ブルトン1884年油彩・カンヴァス110.6 × 85.8 cmシカゴ美術館シカゴ
パルドン祭のブルターニュの女たちパスカル・ダニャン=ブーヴレ1887年油彩・カンヴァス125 × 141 cmカルースト・グルベンキアン美術館リスボン
パリの裏庭アクセリ・ガッレン=カッレラ1884年油彩・カンヴァス28 × 23 cmアテネウム美術館ヘルシンキ
農民の埋葬エーリク・ヴェーレンシオル1883〜1885年油彩・カンヴァス102.5 × 150.5 cmオスロ国立美術館オスロ
コーンウォールの浜辺の魚の競りスタンホープ・フォーブス1885年油彩・カンヴァス118.5 × 154 cmザ・ボックスプリマス
猫を連れた老女アクセリ・ガッレン=カッレラ1885年油彩・カンヴァス121 × 96.5 cmトゥルク美術館トゥルク

自然主義の絵画についてのよくある質問

絵画の自然主義とは?

絵画の自然主義とは、理想化や約束事による様式化ではなく、直接の観察にもとづいて、目に見えるとおりに描くことです。テートはこれを、物事を私たちの見え方に近く表した19世紀の幅広い運動とし、イギリスではジョン・コンスタブルが先駆けとなり、しばしば屋外での制作と結びつくと述べています。ゲッティ研究所の『美術・建築シソーラス(AAT)』は、自然主義の作品は欠点にこだわるとは限らず、忠実でありながら理想化されることもあると補っています。運動としては1870年代後半〜1890年代に、フランスでジュール・バスティアン=ルパージュが主導しました。

出典: テート:Naturalism · ゲッティ研究所AAT:naturalism · 『Nineteenth-Century Art Worldwide』誌:Jules Bastien-Lepage, Musée d'Orsay exhibition review

自然主義の絵画の特徴は?

自然主義の絵画は、農村の労働や日常生活を、実在の一人ひとりの人物とともに見たままに近く、しばしば屋外の昼の光の中で描きます。テートは自然主義を戸外制作と結びつけ、農村の自然主義を写実的で、しばしば感傷的に描かれた田園生活の場面と説明しています。オスロ国立美術館によれば、屋外での制作は自然主義の画家の綱領の要で、美よりも真実を重んじる芸術上の理想でした。オルセー美術館は、バスティアン=ルパージュの《干し草》の高い地平線、近い構図、明るい色調を、自然主義における近代性の表れと見ています。

出典: テート:Naturalism · テート:Rural naturalism · オスロ国立美術館:Erik Werenskiold, Peasant Burial · オルセー美術館:Hay Making(Google Arts & Culture)

自然主義の絵画はいつ、どこで生まれた?

絵画の自然主義は1870年代後半のフランスで生まれ、1890年代まで続きました。オルセー美術館によれば、バスティアン=ルパージュの《干し草》は1878年のパリのサロンで大人気となり、作家エミール・ゾラはこれを絵画における自然主義の傑作とみなしました。カルースト・グルベンキアン美術館は、自然主義の人気が1880年代後半に頂点に達したと述べています。テートによれば、そのころ1886年に名づけられた象徴主義が、写実主義、印象派、自然主義に見られる自然の写実的な描写から離れつつありました。

出典: オルセー美術館:Hay Making(Google Arts & Culture) · カルースト・グルベンキアン美術館:Les Bretonnes au Pardon(Google Arts & Culture) · テート:Symbolism

外光派とは?

外光派とは、屋外で、実物を前にして作品を仕上げる戸外制作(プレネール)を重んじた画家たちのことで、この方法は自然主義の中心にありました。テートは戸外制作を自然主義の発展における重要な技法とし、農村の自然主義の画家たち、とりわけニューリン派が広く取り入れたと述べています。強風の浜辺で、カンヴァスと画架を張り綱で押さえて描くスタンホープ・フォーブスの写真も残っています。アテネウム美術館によれば、エーデルフェルトの《子どもの棺を運ぶ》(1879年)は、すべて屋外で描かれて展示された最初のフィンランドの絵画でした。

出典: テート:Plein air · アテネウム美術館:Conveying a Child's Coffin(Google Arts & Culture)

外光派と印象派の違いは?

どちらも屋外で実物から描きましたが、自然主義の外光派は入念な仕上げと、しっかりした細かな人物を保ちました。一方、テートによれば、印象派は移ろう光をとらえるため、すばやい分割した筆触で描きました。ヴィクトリア国立美術館は、バスティアン=ルパージュの《十月》がサロンの観客に好まれたのは、アカデミックな絵の入念な仕上げと、印象派を思わせるゆるやかな筆づかいを兼ね備えていたからだとしています。エーデルフェルトは《リュクサンブール公園》で補色など印象派の手法を借りながら、1年以上をかけて仕上げました。

出典: テート:Impressionism · ヴィクトリア国立美術館:October(Google Arts & Culture) · アテネウム美術館:The Luxembourg Gardens(Google Arts & Culture)

写実主義と自然主義の違いは?

写実主義は主に「何を描くか」、自然主義は「どう見えるか」にかかわります。テートは写実主義を、日常生活の主題を自然主義的に、ある種の生々しさをもって描いた19世紀半ばの運動とし、自然主義を、物事を私たちの見え方に近く表すものと定義しています。1880年代の農村の自然主義はもっと穏やかで、テートによれば、その感傷に傾く傾向がクールベらの生々しい写実主義との違いです。ゲッティのAATも、自然主義は写実主義の作品が示しうる欠点や不完全さに焦点を当てるとは限らないと、同じ区別をしています。

出典: テート:Realism · テート:Naturalism · テート:Rural naturalism · ゲッティ研究所AAT:naturalism

自然主義の代表的な画家は?

自然主義を代表する画家はジュール・バスティアン=ルパージュです。2007年にオルセー美術館で開かれた回顧展の展評は彼を自然主義の第一人者と呼び、展覧会図録はその影響をレオン・レルミット、レオン・フレデリック、ジョージ・クラウゼン、アクセリ・ガッレン=カッレラにたどっています。パスカル・ダニャン=ブーヴレのブルターニュの場面もサロンで成功を収めました。イギリスではテートがクラウゼン、ヘンリー・ハーバート・ラ・サング、エドワード・ストットと、フォーブスやフランク・ブラムリーのニューリン派を挙げ、ノルウェーではオスロ国立美術館がヴェーレンシオルとハリエット・バッケルを自然主義の画家に数えています。

出典: 『Nineteenth-Century Art Worldwide』誌:Jules Bastien-Lepage, Musée d'Orsay exhibition review · カルースト・グルベンキアン美術館:Les Bretonnes au Pardon(Google Arts & Culture) · テート:Rural naturalism · テート:Newlyn school · オスロ国立美術館:Erik Werenskiold, Peasant Burial · オスロ国立美術館:Harriet Backer, Christening in Tanum Church

ジュール・バスティアン=ルパージュとは?

ジュール・バスティアン=ルパージュ(1848〜1884年)は自然主義を率いたフランスの画家で、36歳で亡くなり、その画業は10年ほどでした。2007年にオルセー美術館で開かれた回顧展の展評は、彼を自然主義の第一人者と呼び、メトロポリタン美術館にある《ジャンヌ・ダルク》を19世紀の荘厳な象徴的作品の一つとしています。故郷ダンヴィレールの農民を《干し草》や《十月》などの大作に描き、ロンドンではジョージ・クラウゼンやヘンリー・ハーバート・ラ・サングらイギリスの自然主義の画家たちを引きつけました。

出典: 『Nineteenth-Century Art Worldwide』誌:Jules Bastien-Lepage, Musée d'Orsay exhibition review · メトロポリタン美術館:Joan of Arc · オルセー美術館:Hay Making(Google Arts & Culture) · ヴィクトリア国立美術館:October(Google Arts & Culture)

自然主義の絵画の代表作は?

代表作には、メトロポリタン美術館にあるバスティアン=ルパージュの《ジャンヌ・ダルク》(1879年)とオルセー美術館の《干し草》(1877年)、シカゴ美術館にあるジュール・ブルトンの《ひばりの歌》(1884年)、グルベンキアン美術館にあるダニャン=ブーヴレの《パルドン祭のブルターニュの女たち》(1887年)があります。イギリスではテートが、フランク・ブラムリーの《望みなき夜明け》(1888年)とフォーブスの《花嫁の健康を祝して》(1889年)をニューリン派の傑作に数え、フィンランドではアテネウム美術館がエーデルフェルトの《子どもの棺を運ぶ》(1879年)を所蔵しています。

出典: メトロポリタン美術館:Joan of Arc · オルセー美術館:Hay Making(Google Arts & Culture) · シカゴ美術館 · カルースト・グルベンキアン美術館:Les Bretonnes au Pardon(Google Arts & Culture) · テート:Newlyn school · アテネウム美術館:Conveying a Child's Coffin(Google Arts & Culture)

日本の外光派(黒田清輝)とヨーロッパの自然主義の関係は?

日本で「外光派」と呼ばれる黒田清輝の画風は、ヨーロッパの自然主義と同じ流れにあります。東京文化財研究所によれば、黒田は1884年にパリに着き、1886年に画家ラファエル・コランに入門しました。コランはバスティアン=ルパージュの友人で、その影響で屋外の光をとらえる表現を取り入れていました。黒田と久米桂一郎は、明るい外光を取り入れたこの表現を「外光派」と呼び、1893年の帰国後、1896年に白馬会を結成しています。近年の研究では、この画風は plein-air painting や Naturalisme(自然主義)と呼ばれています。

出典: 東京文化財研究所:黒田清輝の生涯と芸術(田中淳)

文学の自然主義と絵画の自然主義は同じ?

名前は同じですが、分野の違う運動です。絵画の自然主義は、1870年代後半〜1890年代に、農村の労働や日常を目に見えるとおりに、しばしば屋外で描いた美術の運動です。文学とのつながりもあり、オルセー美術館によれば、作家エミール・ゾラは1878年のサロンで人気を集めたバスティアン=ルパージュの《干し草》を、絵画における自然主義の傑作とみなしました。一方、日本でよく知られる自然主義文学は明治の小説の運動で、国立国会図書館によれば、田山花袋は1907年の『蒲団』で自然主義運動の先頭に立ちました。

出典: オルセー美術館:Hay Making(Google Arts & Culture) · 国立国会図書館「近代日本人の肖像」:田山花袋

美術で「自然主義的」とはどういう意味?

美術で「自然主義的」とは、様式化や抽象ではなく、外の世界を直接観察したように描くことをいいます。ゲッティのAATは、自然主義を作品の性質を表す一般的な言葉とし、外の世界の直接の観察にもとづく、またはそう見える描写で、様式化された作品や抽象的な作品と対比されるとしています。写実的な作品と違って欠点や不完全さに焦点を当てるとは限らず、理想化されていることもあります。テートによれば、19世紀には人物や風景を古典の約束事で理想化せず、見たままに近づけて描く流れが生まれました。

出典: ゲッティ研究所AAT:naturalism · テート:Naturalism

自然主義の絵画はパブリックドメイン?無料でダウンロード・商用利用できる?

はい。バスティアン=ルパージュ、ブルトン、エーデルフェルトをはじめ、当サイトで紹介する自然主義の画家は全員1947年までに亡くなっており、その絵画はアメリカと、作者の死後70年で著作権が切れる国々でパブリックドメインです。無料でダウンロードでき、商用利用もできます。ただし美術作品の写真に独自の規則をもつ国もあるため、アメリカ以外で公開するときは確認してください。商用利用できるパブリックドメインの絵画・画像もご覧ください。

出典: コーネル大学図書館:Copyright Term and the Public Domain

有名な絵画の選び方

ここに並ぶ有名な絵画は、世界でどれだけ広く知られているかをもとに選んだ自然主義の絵画です。知名度は、それぞれの作品について百科事典の項目がある言語の数で測り、2026年11月に確認しました。対象は、当サイトのカタログ、ウィキデータ、または所蔵美術館が自然主義に分類している作品と、美術館が自然主義の画家やジュール・バスティアン=ルパージュの追随者と説明する画家による、1870年代後半〜1890年代の農村や日常の暮らしの場面です。1人の画家につき3点までとしたため、バスティアン=ルパージュの《十月》と《薪を拾う人》、エーデルフェルトの《牛乳を運ぶ娘》は下のほうで紹介しています。

ウィンスロー・ホーマーの《メキシコ湾流》は、当サイトのカタログとウィキデータがともに自然主義に分類しているため含めました。ホーマーのほかの絵画は当サイトの写実主義のページにあります。クロイヤーの《ヒップ、ヒップ、ホーレー!》やアンナ・アンカーの《青い部屋の陽光》のように、よく知られていても、自然主義に分類する美術館やウィキデータの記録が見つからなかった北欧の絵は除いています。

制作年、サイズ、所蔵先は、各美術館の記録とウィキデータによります。

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